先日、京都の養源院を訪れて、「血天井」にまつわる歴史に触れ、俄然興味が湧いてしまいました。京都にいくつかあるという「血天井」ですが、たまたま大原三千院を訪れた際、「宝泉院」に出会い、ここにも伏見城の戦いで自刃した武士の「血天井」があるということで、見学してきました
「宝泉院」。建物は室町時代の文亀の再建だとされているそうですが、「血天井」が使われているという事で、既にそうでは無い、ということになります。関ヶ原の前哨戦とされる伏見城の戦いの血ですから、そのことから既に江戸初期以降の再建という事になってきます。建築の状況からも、江戸初期の再建と見られているようですね
宝泉院は平安末期からの歴史があり、元々大原寺(勝林院)住職の坊であったそうです
門に掲げられた「角大師」。ご周知、疫病・疫病神退散のお札です。
「元三大師」こと、天台宗の僧侶良源のお話は、今、まさにこの時代にタイムリー過ぎて驚きます。まさに歴史(過去)を見ることは、未来を見ることと同意なり。
良源は近江国浅井郡、現在の長浜市に生まれたということで、親近感を覚えるので少し触れましょう(笑
平安時代、疫病が流行した際のある日、良源にも疫病神が襲って来ました。疫病神曰く、「われは疫病神。今、天下に流行している疫病があなたも罹る。あなたのお体を侵しに参った」。これに対し良源は、「逃れられない因縁ならいたし方あるまい。この指につけよ」と、指を差し出しました。疫病神が指に触れると、全身に激痛が走り高熱を発して苦しんだそうです。しかし良源は、法力を持って疫病紙を退散させたのです。
その後良源は、体験した苦痛から、疫病に苦しむ人々を救わねばならない、と発心し、鏡の前で観念三昧に入られました。すると不思議な事に、鏡に映った自身の身体が、だんだんと骨ばかりの恐ろしい鬼の姿に変わっていったのです・・。これを弟子が書き写し、版木に彫りおこしてお札に刷りました。
良源は、「このお札を人々に配り、小口に貼りつけるようにすれば、疫病はもとよりあらゆる厄災から逃れられるであろう」と弟子たちに指示します。すると、このお札をいただいて、小口に貼った家の者は疫病に罹らず、また病気であった者も全快したそうです。以来、元三大師ゆかりの寺院では、このお札を「角大師」と称して、護符とされているそうです。ちなみに、元三大師はおみくじの原型をつくった方人、おみくじ発祥の人ですよね、「ブラタモリ」比叡山の項でもやってましたっけ・・笑
すみません、門前だけですでに萌えてしまい・・、角大師を眺めるだけで相当な時間を費やしてしまいました・・・苦笑
庭にある、「法然上人衣掛けの石」。出ましたね、法然上人。そうです、ここは京都大原。「大原問答」ですね。大原問答についてはまた後日、「勝林院」で書きたいと思います
「宝泉院のゴヨウマツ」が、むこう側に見えます。これは縁側から眺められるのでしょう。
早速、中に入って見学させていただきます。
んん~・・・・。お庭がいやらしいですね~・・・笑 めっちゃ綺麗です
上皇様もいらしているご様子が、パネルに展示されておりました
秋篠宮殿下のお姿も、お若い頃の訪問でしょうか
ちなみに、私は今回人生で初めて車で「京都」に入りました。京都と言っても、大原ですけどね・・笑 大原は滋賀からだと非常に近いと言いますか、恐らく観光で、京都市中界隈からバスだのなんだので行くより、よっぽど近い(早い)のではないでしょうか?琵琶湖大橋の堅田あたりから、ものの30分程度でした。
さて、客間に通されて、しばしくつろがせていただきます。
んん~・・あの肘立て、いやらしいですねえ・・笑
お抹茶と、餅をいただきまして、これを見ると壬生の「屯所餅」を連想してしまう、「幕末人」のワタシです・・
何とも言えない空間。こうしたひとときに、時空を超えて1000年前の先人たちと、同じ空気を眺めているというか、そんな気分にさせてもらえるのは私の妄想癖のせいでしょうか・・。こうしたひとときが身近にある、というのは本当に贅沢で幸せなことです
さあ、いよいよ「血天井」です。縁側の廊下の天井に敷かれた天井板。これが「血天井」とのことです
しかし、養源院で見た血天井ほどの生生しさは感じられませんでした
養源院に使われた板には、完全に血に濡れた手の跡であったり、指を引きずった痕が見られましたが(養源院は撮影禁止)、こちらはそこまでの生生しさはありません。
時節柄、観光客が少ないこともあって、あるいは三千院は訪れても宝泉院までは見学に来ないのかな、とも思いますが、非常にゆっくりと見学させてもらえました
この後、「勝林院」(大原寺)を見学させていただいたのですが、これがまた、ヤバい!笑
この頃、ちょうどあるテレビ番組の放送もありましてね、この「勝林院」を取り上げた特番だったんです。テレビを見たのは訪れた後の事でして、まあ、興奮しましたね~笑
それはまた、後日。
お付き合い、ありがとうございました~